密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
もう一度キスしてほしい。
ドキドキするのに安心できるキスを。
私は美人でも可愛いわけでもない。大学も高望みし過ぎて只今、浪人中。性格も平凡という言葉が似合うくらいの普通。特別優しくもない。得るものより失うものの方が多い生活をしてきた。
だけど、好きな人にとって、たったひとりの存在になりたい。
晴斗にとってたったひとりの女になりたい。
私ね、晴斗の事が好き。大好きだよ。
「遥、好きだ……」
晴斗が私の想いに答えてくれた。
その瞬間、目蓋で感じる鮮やかな太陽の光で幼い恋が満月のような蜜となり、大人の愛というページが捲られた。
一度捲られると、命ある限り、真っ白な雲の下でも、密色の月の下でも、昼夜を問わず愛というページは捲られ、綴られていく……。
深くて熱い二度目のキスを交わしながら目を開けると、さっきの三毛猫が蜜色の瞳でこっちを見て啼いた。続きは雲のようなベッドの上で、と。
ふわりふわり
とろんとろん
ぷるんぷるん
【真っ白な雲の下で*END】