密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
密と蜜*
*リフレイン*
【高鳴る胸を愛した手】
タブーは発酵を繰り返しながらこれからも毎朝続くのだ。
蜜を塗ったパンのように愛を滴らせながら。
【ラブホテルのベッドの上で】
勿論、殺されたくはないけれど、それくらい愛されて最期の眠りにつきたい。
神様、その願いくらい叶えてください。
よく頑張って生きてきたね、と……。
【甘ったるくて熱くて不自然なキス】
私の身体を火照らし発情させる新書を図書館で見つけた。
【美しすぎる上司】
私は指輪のない櫻井部長の左手薬指を口に含んだ。ガラス細工のように繊細なその指先が私の口という熱い高炉で溶けていく。
これが私の密と蜜の始まり。
身体も心も、ここまで感じたらもう引き返せない……。
【秘密のラブスイッチ】
今宵もお互いのスイッチがONになり、狂ったようにキスをする。
愛の歌を奏でるように、お互いの唇と唇に蜜を絡めながら。
【私たちの関係】
───愚かや過ちという名の鎖で三人の足が繋がれたとしても私たちなら生きていける。
望み望まれ、想い想われ、私たちなら堂々と手を繋ぎ、胸を張って生きていける。
【日曜日の朝】
また来週の日曜日も腕枕をしてもらって、フワフワのホットケーキを作って、穏やかに過ごせますように……。
【その色はグレー】
頭ひとつ分のスペースがあれば悲しみを抱えた不満足な愛から抜け出せる。猫が狭い所を擦り抜けられるように。
【孵化した黒い羽】
助けて欲しいのは、救って欲しいのは私だと訴えかけるように、汗と夜景をその羽に映しながら。
!!
今、ベッドの上で私の背中が軋むように音を立て、清らかに羽ばたいた。
【好みのタイプ】
世界で一番大好き。
【普通という人生の長針】
毎月子宮から落ちるその血液のように私の目から涙がぽとりぽとりと落ちた……。
私、女なんだ。
【重なる鼓動】
私のストレートで居心地の良い青春ドラマが今、多摩川沿いで幕を開けた。
【生まれてきてよかった】
私たちには生まれてきた時に親に希望を託された名前がある。
その名前を大切にする大地くんはきっと命を大切にする人。
生まれてきてよかった。
私らしさをキスで塞がれながら朝陽の中でそう思っていた。