密と蜜～命と共に滴り堕ちる大人の恋～

　早くに両親を亡くした私はいつもひとりだった。

　それでも親戚の家に預けられている頃はまだよかった。窮屈だけど学校から帰ると家に明かりが灯っていたから。

「景子ちゃん、おかえり」
　
　と、言ってくれた叔母さんには心から感謝している。

　その一言があるから私はそこにいられた。叔父さんにどんなに嫌な顔をされても厄介者として不条理に扱われても、そこに帰る事ができた。


　高校を卒業し、一人暮らしを始めてからはなるべく自炊をして節約を積み重ねた。

　会社には朝握ったおにぎり二個と水筒に入れた麦茶を持って行き、夕ご飯は閉店前のスーパーで割引の惣菜やパンを買って食べた。