密と蜜~命と共に滴り堕ちる大人の恋~
 その夜、優也は背中に爪の痕を持ったまま私を抱いた。剥ぎ取られた情緒ある浴衣と帯が墨絵のように畳に滲んでいる。

 私は和洋折衷な女。

 グリーンのシャドウの奥は蒼。

 グラマラスな腰を振るぎりぎりのシルエットと久しぶりの布団。

 ベッドより柔らかくて、生暖かくて、優也がギラギラした瞳で、激しく汗を流し、前のめりに身体を求めれば求めるほど、突き動かせば突き動かすほど、女という私の卵が孵化しそうになった。


「可愛い。最高だったよ。幸恵は天使みたいに優しいよな。白衣の天使」


 優也は全てを終えるとまだ呼吸が整わないうちに耳元でそう囁き、こだわって開けたピアスの穴を粘膜で塞ぐように舐めた。



< 96 / 304 >

この作品をシェア

pagetop