花の名前
明け方、夢を見た。
高校一年の文化祭。
美術部の展示スペースで、
背の高い男の子に、アンケートを書かされた。
「どの絵がよかったですか?」
あたしは、迷わずあの絵を選んだ。
それを見ていた、さっきの男の子が、嬉しそうに言った。
「それ、俺が描いたんだ」
そこから始まった恋が、こんな形で終わってしまうなんて、
誰がわかっただろうか。
夢の中のあたしは、全てを知っていた。
トモがもういないことも。
あたしだけが残されることも。
画家を目指していたトモが、
初めて賞を取った日に訪れた、皮肉な運命も。
事故の次の日、現場だった交差点に残っていた、
トモの流した血の色も。
高校一年の文化祭。
美術部の展示スペースで、
背の高い男の子に、アンケートを書かされた。
「どの絵がよかったですか?」
あたしは、迷わずあの絵を選んだ。
それを見ていた、さっきの男の子が、嬉しそうに言った。
「それ、俺が描いたんだ」
そこから始まった恋が、こんな形で終わってしまうなんて、
誰がわかっただろうか。
夢の中のあたしは、全てを知っていた。
トモがもういないことも。
あたしだけが残されることも。
画家を目指していたトモが、
初めて賞を取った日に訪れた、皮肉な運命も。
事故の次の日、現場だった交差点に残っていた、
トモの流した血の色も。