花の名前
「エリカちゃん。朋夜がいなくなって辛いけど、それを一人で抱え込むことは
ないんだよ。」


慧太君の手は、トモのよりもちょっと小さくて、その分、指が長かった。


あたしは、その暖かい手の温もりに、癒されている気がした。


「だいじょうぶ。だいじょうぶ。」


そう言って、あたしを見てくれる慧太君の瞳が、トモとダブって見えて、あたしは、たまらなくなった。


目から、熱い涙がこぼれた。


あたしは、慧太君の腕にしがみつくと、子供のように声を出して泣いた。


あたしの涙は、彼のシャツの袖にたくさんのしみを作った。


あの日以来、初めて大声で泣いた。


そして、あたしは、ちょっとだけ気が軽くなるのを感じたのだ。
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