花の名前
その日の夜、慧太君と約束をした。


傷口を消毒してもらいながら、彼が言った。


「もう、手首切るのはやめよう。朋夜もきっと同じように言う。」


あたしは、小さく頷いた。


消毒液が、しみて痛かった。


ああ、あたし生きてるんだなぁ。と思った。


慧太君のベッドで、眠りにつくと、遠くに波の音が聞こえた。
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