花の名前
そう言ったまま、彼は何も言わなかった。

あたしも、何も聞かなかった。


そして、花火を片付けて、彼は友達の家に、あたしは彼の家に帰った。


お風呂にお湯を溜めて入った。


トモの絵を思い出して、少しだけ泣いた。


お風呂から出ると、携帯電話に、お母さんからの留守電が入っていた。


「無理するんじゃないわよ」という声が、とても優しかった。

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