花の名前
トモは、この絵をあたしに見せようと、来る途中で事故に遭ったんだ。


胸が、苦しかった。


上手く息が出来ない。


あたしの涙は、止まることなく流れ続けた。


声にならない言葉が出てきた。


トモ、あたし、あなたに会いたいです。


会いたい。


会いたい。


会いたい。


その一心で、あたしは、思いきり深く手首を切った。


何度も、何度も。


血が、吹き出して、手のひらを伝い、スカートにぼとぼとと染み込んでいく。


温かい血が、太腿を流れ、床に染みを作っていく。


あたしの意識は、そこで途切れた。


神様、もしも天国でトモに会えたら、もうずっと引き離さないで下さい。

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