花の名前
ぼんやりした目を開けると、そこはいつものベッドで、側に慧太君がいた。


頭が、割れそうに痛かった。


「また、トモのところには行けなかったのね。」


そう呟くと、


「エリカちゃんは、死にたいの?」


と、彼が聞いた。


あたしは、ぼんやりとした頭で答えた。


「わかんない。ただ、ここはいや。トモに会いたい。」 


 蛍光灯の明かりが眩しくて、目をつぶる。


慧太君が、低い声で呟いた。


「じゃあ、一緒に死のうか」


あたしは、何も答えなかった。


ただ、小さく頷いた。


手当てがしてある傷口から、血が流れたような気がした。
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