花の名前
しばらくして、彼は、たくさんの白い錠剤と、お酒の缶を持って、帰ってきた。


これをたくさん飲んだら、眠っているうちにトモのところへいけるかしら。


そう思って、あたしは錠剤に手を伸ばした。


たくさんたくさん飲んだ。


お酒で、流し込んで、たくさん飲んだ。


二人で、八瓶を空にした。


瓶にラベルが付いていなかったので、「なんの薬?」と聞くと、「睡眠薬」だと彼が答えた。


慧太君が、ベッドに入ってきて、二人で抱き合いながら、死が訪れるのを待った。
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