花の名前
病院で、彼が、彼女を失ってから精神を病んで通院していたこと。


あの薬は、処方されたものを溜めこんだものだということを知った。


彼が、胃の洗浄をし、眠り込んだのを見届けて、あたしは家に帰った。


家に帰り、母に全てを話すと、いつもは怒らない彼女にひっぱたかれた。


「みんな、あんたのこと心配してるんだから」


叩かれた頬の痛みを感じながら、あたしは思った。


ああ、慧太君が、あたしを生かしたように、彼女も、彼に生きてて欲しかったんだ。


涙が出た。そして、目が覚めたような気がする。


「ごめんね、お母さん。あたしは、生きる。」
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