花の名前
また、あの湖の絵を見に行ってもいいですか?と聞くと、


お母さんは、いつもの笑顔で「いつでも来てね」と言ってくれた。


彼の絵を、丁寧に布で包んでいると、玄関のほうで、小さな物音が聞こえた。


何か配達されたのかと思って、郵便受けを開けると、一枚の画用紙が入っていた。


それを見て、慌ててドアを開けたけれど、もうそこには誰もいなかった。


あたしは、それを持って、部屋を飛び出した。


海へ一直線に下る坂を、駆け下りて、走った。

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