花の名前
 トモとは、高校一年の時の、

文化祭で知り合った。


ふと入った美術室で、

あたしは展示してあった一枚の絵にくぎ付けになった。


湖に映る、空。


青いキャンバス。


今もトモの部屋に飾ってあるその絵を、


あたしは、ひと目で愛した。


キャンバスに収まりきれない、


その青は、あたしがこの世で一番好きな色だ。


そして、その色を作り出すトモのことも、愛していた。



トモも、あたしのことを、


きっと世界で一番好きでいてくれていたのだと思う。
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