リベレイターズ
卯月さんは、帽子を取って僕たちにそう告げる。


しかし、僕たちには卯月さんが帽子をとったことで、さらに女性ではないかという疑いを生じさせてしまう。

凛とした顔立ちに、黒髪ロングが相まってどこからどう見ても女性にしか見えないからだ。

僕たちは、その場で立ちつくしてしまう。

「えっと。とりあえず、男に見える服装を選んでみたんだけど」

確かに、赤色のジャンパーとジーンズは男物である。

「ダメだな、アニキは。ボーイッシュな女子にしか、見えねーし!」

 そう、女の人が男物の服装をしているようにしか見えないのだ。

「そうなの?」

「そうなの! ほら、二人の男の子の夢ぶっちしちゃ、ダメじゃん!」

「えっと、ご、ごめんね。二人とも」

「あ、いえ! 謝ることではない気が。むしろ、女性の方と間違って僕たちの方こそ、失礼ですし」

僕は、苦し紛れにそう答えた。

守の方は、未だにフリーズしたまま体を動かさない。

夕姫は、いたずらっぽくニッコリと微笑んだ。

逆に、困ったようにまゆを潜めながら卯月さんは、頬を掻く。

「そ・れ・に! アニキは、ネカマだからね。普段から女装コスもしてるし、もう性倒錯者っぷりは重症だから。二人とも引いてあげないでね。変態だけど」

さらに、納得した。

彼の美貌は、どうやら日頃の成果らしい。

「こら、夕姫。一言余計」


「あ、は、はい。わかりました。えっと、趣味趣向は人それぞれですし………」


その言葉が、守の口からやっと絞られたものであった。



しばらくは、卯月さんや夕姫、守と受付の前で話していた。

すると、ピンポンと音がしてエレベーターの扉が開く。

どうやら、他のプレイヤーが到着したようだ。


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