なにぬねのんびり屋

「じゃあ少しだけお邪魔します。」


「おやおや、やっぱりいつもの会長くんじゃないねぇ」



素直に座ったのが意外だったのか、ケラケラと笑う希美先生に苦笑いが漏れる。


先生にあって少しだけ和らいだと思った頭痛は、やはり気のせいだったのか、またズキズキと痛み出した。



「…会長くん、具合悪い?」


「いや、すこし頭が痛いだけですよ」


「…それは具合悪いっていうんです。」


「これくらい、どうってことないですよ」



熱があるわけでもないし、喉も鼻も通常通り。

本当に頭痛だけなんだ。




「馬鹿は風邪をひかないっていうじゃん?」


「慣用句ですか」


「うん。あれって、馬鹿は風邪ひいてることにすら気づかないって意味だって前に聞いたんだけどさ、それで行くと頑張り屋さんも風邪ひかないよね。」



「どういうことですか?」



「だってさ、頑張り屋さんは風邪をひいても無理して頑張るでしょ?だから、頑張り屋さんは風邪ひいてないフリをするのさ」




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