なにぬねのんびり屋
「俺はさ、死んだとしてもあんまり大々的にやって欲しくないんだよね。」
「なんで?」
「だってさ、悲しいじゃん?」
死後の世界とかそういう話じゃなくて、きっと死んだら意識もなくなるだろう。
もし、俺が死んだことで、悲しんでくれる人がいるなら、俺はなるべくその悲しみを少なくしてあげたい。
葬式を大々的にやったら、悲しみが増しそうで嫌だ。
「そーかな?あたしは悲しみたいよ?
凌斗さんが死んだらうんと悲しんで、いっぱい泣いて、最後は笑ってお別れしたい。悲しくても、それが凌斗さんと過ごした証みたいだからそれでもいい。」
「そっか…それならうんと悲しくんでもらった方が幸せなのかもな…」
本当に俺がいなくなったことを想像したのか、膝を抱えて顔を埋めて小さくなったのぞみに愛おしさが溢れる。
のぞみは命にランキングがあるみたいだと言ったけど、例えそうだとしてものぞみや家族、仲間に悲しんでもらえたらそれでいいんじゃないかなと思った。
「死ぬ話なんてもうやめよう。悲しくなっちゃう。」
「俺はのぞみより先には死なないから安心しろ。」
「あたしだって凌斗さんより先には死なないから。負けないよ?」
「じゃあどっちが長生きできるか勝負だな。」
最期を迎えるその時まで、一緒にいるのが当たり前だと思ってくれている君との勝負。
負ける気はさらさらない。
END