なにぬねのんびり屋

「会長くんではないか!いいところに!」


「…いいところにじゃないですよ。なんですかこれは。」


「相変わらず冷静だね!ちょっとやらかしました!」



なんでそんなに笑顔なのか。
なんで親指立てて爽やかにこっちを見るのか。

やらかしたんならもっとやっちまった感をだした顔をしなさい。



そして、そんな笑顔の先生の後ろには散乱した資料の山。


あれを崩したんだろうな。



「なにしたんですか…」


「あれをね、取ろうとしたわけよ。」



あれと言って指差したのは、背の高い棚の上に乗ったダンボール。


先生の身長じゃ、背伸びしても届かないだろう。



「椅子に乗って取ろうとしたら思ったより届かなくてバランスを崩しましてね、ダンボールの横のプリントの山が雪崩を起こしましたよ」



それで先生は不自然に椅子の上でポーズをとっているわけですか。



そんな「やれやれ」みたいなアクションされてもね。

こっちのセリフだよってな。



「…怪我とかしてないですか?」


「そこは華麗に避けましたよ。持ち前の反射神経でね!」


「怪我がないならいいです。なに無茶してるんですか、誰かでかい人呼べばいいじゃないですか」


「届くと思ったんだけどねー。無理だった」


「…全くもう。怪我してからじゃ遅いんですからね?」


「はーい。ごめんなさーい」


「…反省してます?」


「してるしてる!会長くん、あれ取ってくださいお願いします!」



絶対反省してないこの人。

でもまぁ、お願いされたからには取ってあげますけどね?


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