なにぬねのんびり屋
「おもしろかった」
学校がお休みで、だけど凌斗さんはお仕事に行ってしまったそんな土曜日の午後。
一人で映画鑑賞なのです。
というのもこの間のロードショーでコミカルな車がレースする映画を観まして、それの2を観たくなっちゃったんですね。
DVDを借りてきて、リビングで飲み物とポップコーンを準備して、万全な体制で楽しみました。
もう疾走感が素晴らしいよね。
あとあれね、表情が豊かだよね。
「ただいまー」
「ぜひ飛行機の方も観に行こうと思ったわけですよ」
「おかえりって返ってくると思ってたんだけど、ちょっと想定外すぎて逆に冷静になった」
「おかえりなさいなさい」
「ただいま。で、飛行機の方って何の話?」
「映画!今やってるじゃん?あれ観に行きたくなったん。目元がな、めっちゃ表情豊かやねん」
「突然の関西弁に戸惑いを隠せないよ俺」
「あれ観ると、目元だけで表情ってわかるもんなんだなって思うよ。人間やっぱり目で語るんだね。今凌斗さんがなに考えてるか当ててあげよう」
「うん?なんだと思う?」
「映画かぁ明日は何も用事ないし、買い物ついでに行くか」
「それ完全にのぞみの願望だよね。目元関係ないよね」
「凌斗さん。明日は映画行こうね」
「行きたくて仕方ないって顔だね」
「目で語ってる?」
「のぞみは目とか関係なしに全身で語ってくるからね。何考えてるかなんてすぐわかるよ」
「丸わかりかぁ。それはそれでどうなのよ」
「いいとこでしょ?明日は映画行こうか」
「うん!いく!」
END