なにぬねのんびり屋

「なんか、正月はさんだら一気にやる気が失せてしまったんです」


「それはよろしくないですねぇ。気持ちはわかるけどさ」


「受験生に正月はない」とよくいわれるが、それを言うなら周りで正月気分で騒ぐんじゃねぇよと思ってしまう。

どうしても周りでそういう浮ついた空気を出されると、自分もそれに同調してしまいたくなるものだ。



「ということで、一番集中できるここに来たわけです」


「ここが一番集中できる場所だなんて、会長くんすごいな」


「先生が集中して仕事してるのを見ると集中できるんです。つられるんですかね」


「なるほど、プレッシャーをかけられたわけか」



暗に「お前が集中しないと集中できないんだぞ」と言われた気がする。


まぁ、言われてみればたしかにあたしも会長くんがいるときの方が仕事がはかどっているかもしれない。

まんまとあたしも会長くんの雰囲気につられているんだろうか。



「そういう訳じゃないんですけどね…ま、お互い頑張りましょう」



そう言って勉強道具を広げ始める会長くんに、つい姿勢を正してしまう。

受験生の勉強の邪魔はできない。



「よし、がんばる」


あたしもやる気スイッチ入れて、お正月気分からの脱却を図ることにしよう。




END



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