なにぬねのんびり屋
そこから始まる凌斗さんとの惚気話に付き合わされ、家についたから切ると一方的に切られた電話。
どこの自己中女だお前は。
もちろん、アルコールが入ってるせいだってことは重々承知だが、あぁもこちらがぐらつくような言葉をポンポン言われてしまうと、こちらもなかなか吹っ切れない。
高校を卒業して、地元から離れて、ついでにあいつへの想いも断ち切ったはずだったんだが。
大学ではそれなりにモテたし、何人かとは付き合ったが長続きはしなかった。
どうしても比べてしまうんだ。あいつの笑顔とか笑い声とか。
なにも考えてないように見えて、実は1番周りを達観していたのはあいつだ。
何されても屈しなくて、何事も人のために忙しなく動き回るあいつは、きっと極度のお節介なんだろう。
それを横で眺めているのが、ひどく心地よかった。
安心したんだ、あいつの横は。
まぁ、俺があいつと出会った時からすでに、そのポジションは埋まってたんだけどな。
きっとこれから先、あいつ以上に居心地良い存在はなかなか見つからないだろう。
だから、あいつを超える奴が現れるその時までは、無邪気な言動にバカみたいに振り回されていたい。
END