なにぬねのんびり屋

「本人がいなけりゃ何言っても良いのか?お前ら、本人を前にして今言ったこと言えんのかよ?それを聞いて、佐藤くんはどう思う?」



もう口調が教師のそれとは違ってきた先生。

先生が本気で怒っているってことなんだろうな。




「お、オレ、あいつのアドレス知ってるし、連絡してみるよ!」



その時、先ほどいないことに気づいてなかったといった奴が声をあげた。


先生の迫力に気圧されているのか情けなく震えていたが、先生の言っていることは伝わったんだろう、佐藤くんに連絡してくれるみたい。



「…お前、バカだな。今は授業中なんだから堂々と携帯出してんじゃないよ。机の下でやりなさい。携帯、取り上げられたいの?」


「あ、や、いや、見逃して!」


「だから、机の下でやれってば。あ、今だけだからね。あとで授業中に使ってるの見たら取り上げるから、取られる覚悟がある奴だけ使えよー」



いつの間にかいつもの口調に戻っているのぞみ先生がニヤッと笑ってみんなを見た。

もう、大丈夫って思ってくれたのかな?



「覚えときな。無関心は生き地獄だけど、その代わり、1人でも自分を見てくれる奴がいれば、少しは救われる。

あたしは、みんなが誰かを救える人間だって思ってるから。」


最後にニッコリ笑った先生は、とても優しい目をしていた。



「さぁ授業始めるかー!あ、返信来たらこっそりあたしに教えろよーん。」


本当、先生が担当で良かったわ。



END




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