なにぬねのんびり屋
「…ほら、隅っこ端っこ狭いところが好きな人とかいるじゃん?」
「いるんですか?」
「結構いると思うよ?まぁ、そう言うわけで、先生もその人種なわけよ。」
「どう言う訳かはわかりませんけど、そうなんですか。」
「そうなんです。隅っこ大好きなのよ。」
「ちょっと理解しかねます。」
「もー、そう言うなよー冷たいわー。あ、会長くんも一回入ってみればわかるんじゃん?入ってみなよ!」
グイグイと引っ張られ、先ほどまで先生が座っていた隅っこに押しやられる。
この椅子は来客用のを片付けてあるのかと思ってたら、先生が隅っこに座る用だったようだ。
「ね?落ち着くでしょ?」
椅子に座る俺を見下ろす先生の目が優しく細められ、瞬間的に左胸のあたりが鳴ったが、そこは気付かないふりをして、先生に笑いかける。
「意外と、いいですね。」
でしょー!とニコニコする先生を見て、正直落ち着いてなんかいないが、この感覚は嫌いじゃない。
「今日は特別にその場所を貸してあげよう。あ、それでなんの用事だっけ?」
「…先生とお昼ご飯を一緒に食べたいと思っただけですよ。」
せっかく貸してもらったんだ、勉強なんか後でもできる。
今は先生との時間を大切にしよう。
「ダメですか?」
ちなみに、先生がこの顔に弱いのは把握済みだ。
END