なにぬねのんびり屋
「背中丸まってんぞー」
ある日の5限の時間。
授業はサボり、自販機に向かって歩いていると、背中に軽い衝撃が走った。
声からすると、俺を叩いたのは、あの俺のことを怖がりもしない先生だ。
というか、俺の背中を叩こうなんて教師はこいつ以外にはいないだろう。
「あんた、今授業中じゃねーの?」
「…そのセリフ、そのままそっくりあんたに返したいんだけど。」
「断る。」
「いや受け取れよ!あたしはこの時間は授業入ってないんですーだ。でも君は今授業中じゃないのかね?武藤くんよ?」
「ちょっと休憩だ。」
「あんたねぇ…そんな堂々と休憩するんじゃないの。先生これでも先生だからさ、見逃せないわけよ。教室戻りなさい?」
つまり堂々としてなければいいってことか。
「…ちょっとお腹が痛いので飲み物買ってきまーす。」
「アホかお前は。お腹痛いならあったかくしなきゃダメだろうが。冷やしてどうする。」
「大丈夫。あったかい方買うから。」
「違うよ武藤くん!『あったかい』じゃなくて、『あったか〜い』なんだよあれは。にょろにょろ伸ばし棒が必要なんだよ。」
「……そこは気にするところじゃないだろ。」
『あったかい』の訂正じゃなくて、結局飲み物を買いに行くことを注意しろよ。
てかにょろにょろ伸ばし棒ってなんだ。
初めて聞いたぞそんな棒。