なにぬねのんびり屋
「へ?人助けした?」
「おー。問い詰めたらそう言ってたよ。」
次の日、廊下でばったり会った西野くんが言うことには、
昨日のひぐち君の怪我は、一年生がカツアゲされている場に出くわして、助けに入ったところ相手グループに殴られた、と言う話だった。
「なんでそんな良いことしたのに隠すんだ?」
「それは知らないけど。恥ずかしかったんじゃん?」
「恥ずかしいことじゃないよ?」
「まぁまぁあいつもなんか余計なこと考えてたんだよたぶん。あ、和樹。」
西野くんの視線をたどると、その先には昨日より怪我が増えているひぐち君が立っていた。
「なんで?!」
「何が?」
「怪我!増えてる!」
「お前、昨日の奴らにやられたん?」
「あー、うんまぁ。あ、もしかしてツバサちゃんセンセーにいっちゃった感じ?」
「バッチリ聞いたよひぐち君!助けたんでしょ?良いことしたじゃん!なんで教えてくれないのよ!」
「ほら、言ったでしょ?男は背中で語るからさ。じゃ、そう言うことで。」
そう言って多くを語らずカッコ良く去っていったひぐち君。
「ちゃんと手当てするんだよー!!」
振り返ることなく右手をあげたひぐち君だけど、なんともクサくてひぐち君に似合わなくて、西野くんと目を合わせて笑ってしまった。
「言ってくれればいいのに。」
「語りたくないってんだから、語らせないであげなよ。」
「褒めてあげたいんだけどなー。」
「じゃあ代わりにオレのこと褒めてくれればいいよ。」
「なんだそれ。」
END