なにぬねのんびり屋
「お疲れさまでした。」
まだ雑然としているが、少しだけスッキリした机周りの空間を眺め、満足したように笑顔を見せるセンセー。
「もうすぐ予鈴鳴っちゃう。ごめんね、こんな時間かかっちゃって。」
「別にやることなかったし、大丈夫。」
「ふふっ 手伝ってくれてありがとう。西野くんは優しいね!すごく助かったよ!」
…この人はこうやってすぐ人を持ち上げるようなことを言う。
しかも、気に入られたいとか良い先生でありたいとか、とりあえず褒めておけみたいな風潮に染まってるわけではなく、素で、本心から言っているから心臓に悪い。
自分が本当にセンセーの役に立った、センセーに喜んでもらえたって思えちゃうから、また手伝ってやろうかなって気にいつの間にかさせられる。
「また必要なときは声かければ、やらないこともない。」
「本当に?!じゃあまたお願いしようかなー。西野くんが手伝ってくれればこんな部屋すぐ片付くね!」
へらへらっと笑うセンセーに脱力しつつ、頭を撫でるとなぜかムッとされた。
「あんたじゃなくて、あたしが撫でるの!」
背伸びをして俺の頭をグシャグシャにしたセンセーだが、嬉しいから許してやろう。
「予鈴なっちゃった!ほら、教室戻りな!」
「へいへい」
ここに通う口実もできたし、これからはもっと入り浸ってやろう。
END