捨て子の復讐
本当の復讐
もう、どのくらいの時間が経ったのかしら。
よくわからないわ。
息子の春介が家を出て行って、3年。夫と息子はアメリカに行ったらしいと、風の便りで
聞いた。会いたいなあ。あ、そうだ、薬飲まなくっちゃ。
「ちょっと、里佳子さん、さっき薬飲んだじゃない。里佳子さんが若年性アルツハイマー
ってことは知ってるけどね、離婚したくらいで一気に老け込んだわねえ。」
「ひどいわね、ヘルパーさん、もう・・・。そういえば、今日は息子の誕生日だわ。
何歳になるのかしらね?もう、成人してるのかしら。」
「そういえば、息子さん来てたよ。なんか、公園で待ってるとか。」
「え?本当?行ってもいい?ヘルパーさん。」
「いいわよ。迷子にならないでね。」