遠距離恋愛
「え~、茉柚が手伝うと逆に邪魔なのよねえ…」
「ちょっとお母さん?!」
「ぎゃはははは!!言われてやんの茉柚姉!!」
「大は笑い過ぎだよね?!」
「ほら茉柚、スウェット貸してあげるから早くスーツ脱ぎなよ。
皺になっちゃうから」
「ありがとう実弥姉…でも私泣きそう…」
やっぱり実家はにぎやかで、楽しい。
前ならきっと、この輪の中に翔も居たのだろうと、
笑って「俺と一緒に頑張れば出来るよ」と、
優しい言葉をかけてくれたのだろうと、やっぱり考えてしまうけれど。
スーツを脱いで綺麗に畳み、実弥が貸してくれた部屋着に着替えた。
「ねーおかーさーん、スーツって洗濯しちゃだめだよね?
どうやって保存するのー?」
「スーツは基本クリーニングよ~。ウォッシャブルもあるけど、
茉柚のは違ったはずだから洗わないようにね。
どうせほとんど着ないんだから、
カバーでもかけてクローゼットに入れときなさい」
「ちょっと茉柚、あんたそんなんで本当に一人暮らしできてるの…?」