遠距離恋愛
「…そうする」
着替えが無いから一旦自宅に戻ると言うと、
荷物持ちくらいはしてやる、と大が着いて来た。
我が弟ながら、気遣いのできるいい男だ。
姉ちゃんの割には部屋が片付いてる、
という呟きが聞こえた時には、その頭を叩いたけれど。
実家で母のお粥を食べて、
滋養をつけろと父に栄養剤を飲まされ、
たっぷり睡眠をとった。
すると翌朝には、すっかり体調が戻って。
「もう、急に大から姉ちゃんが具合悪いみたいだから連れて帰るー
なんてメール来た時はびっくりしたわよ~」
「ごめんね、お母さん」
「ちょうど俺に会ってよかったな、姉ちゃん」
「今日の講義、3限からだから少しゆっくりしていっていい?」
「もちろんいいわよ」
「無視かよ!!」
「ありがと、大。助かった」
「…おう」
恥ずかしそうに顔を逸らした大の頭を、わしゃわしゃと撫で回した。