遠距離恋愛
「樹と雅人は?」
「高校の時いつも行ってたカフェで待ち合わせなの。晩ご飯一緒に食べようって、19時に」
「うわー、懐かしいな!って、まだそんなに経ってないけど」
「私も雅人くんに会うのは久しぶりなんだよね。みんなで集まれて嬉しい!」
何より、翔に会えた事が一番に嬉しくて、
再び胸元に顔を埋める。
高校の時に茉柚がプレゼントした香水の匂いが、
翔がここにいる、と実感させてくれて。
「19時って事は時間あるな。どっか行こうか」
「うん!あ、でも翔は荷物あるでしょ。だから一回家行こうよ」
「何、泊まっていいの?」
意味深に浮かべた翔の微笑みに、顔が赤く染まるのが自分でもわかる。
恥ずかしいから、「ばか!」と翔の二の腕を叩いた。
「ごめんって」と笑う翔の笑顔が、少し大人びて見えて。
会えて嬉しい気持ちと、少しの距離を感じてしまった。