遠距離恋愛



未だしょんぼりとしたままの雅人の髪を、
柔らかい手つきで撫でる樹。


「樹のお父さんって…」

「教師だよ。高校の先生」


翔の問い掛けに茉柚が答え、翔が「なるほど…」と頷く。


「ちなみに母も結婚前は教師をしてた。

私にも教師になってほしかったみたいでね」

「高校の初めの頃はね、樹も教師目指してたんだよ」

「…でも、雅人に会って変わったの」


不意に微笑む樹は、本当に雅人が好きなのだとわかって。


「…認めてもらえるといいな」

「ええ。翔くんも頑張ってね、お医者さん。

稼いで茉柚を幸せにしないとね」

「ははっ、だな!」



< 46 / 92 >

この作品をシェア

pagetop