遠距離恋愛
未だしょんぼりとしたままの雅人の髪を、
柔らかい手つきで撫でる樹。
「樹のお父さんって…」
「教師だよ。高校の先生」
翔の問い掛けに茉柚が答え、翔が「なるほど…」と頷く。
「ちなみに母も結婚前は教師をしてた。
私にも教師になってほしかったみたいでね」
「高校の初めの頃はね、樹も教師目指してたんだよ」
「…でも、雅人に会って変わったの」
不意に微笑む樹は、本当に雅人が好きなのだとわかって。
「…認めてもらえるといいな」
「ええ。翔くんも頑張ってね、お医者さん。
稼いで茉柚を幸せにしないとね」
「ははっ、だな!」