遠距離恋愛
「…でも…信じて、ますから。待ってるって、約束したから…」
左手をぎゅっと握りしめた。
「信じてる、って思えば思う程、義務に感じてくるよな」
「…っ」
どうして、そんな事を言うの。
まるで隠した迷いを暴かれているような気分で。
「…なんて、惑わせたかな」
かたん、と響いた音。
拓未は立ち上がり、寂しげな笑顔を浮かべていた。
「ま、遠恋を経験したばかな男の戯言だと思って流しといて」
すっかり冷めたカフェオレのカップを置いて、
拓未は事務所を出て行った。
「……」
俯いたまま、しばらく動けなかった。