遠距離恋愛



腕を引かれ連れて行かれたのは、
普段あまり人が使わないトイレ。


「ほら、これ使って。目冷やして」


ハンカチを水で濡らして目に当てられる。


「何かあった…って言っても、翔くんの事よね」

「…別れた…」

「え?」

「…別れちゃった…っ」


見えないけれど、樹が驚いているのはわかる。


「私が、迷ってるの…辛いの、気づいて…っ、

もう待たなくていいって…俺が悪いって、」


しゃくり上げて、うまく話せない。


「どうして責めてくれないの…っ」



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