君が名前を呼べるようになったら

「用意できました。お、お願いします」




「じゃあ失礼します」




差し出した手に重ねられた手。



あったかい。なんだろう。胸の中までジワってあったかい。それになんか心臓の音が聞こえる。




「あっ、歩きやすくなった。ありがとう。明日からも手、繋いでいい?」




「あ、う、うん。明日からちゃんとハンドクリーム塗って綺麗にしておく」



「うん。俺も綺麗にしておく」




罰ゲームなのに。岩本くんが優しいからなんだか少しだけ罪悪感。



でももう一つ、少しだけ意識しちゃう。この手を離したくないなってそう思っちゃう。
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