君が名前を呼べるようになったら
「えっ?宮野さん?」




「髪の毛濡れてたら風邪引いちゃうよ。痛くない?大丈夫?」




「あっ、うん。じゃあ次は俺に貸して。で頭をこっちに向けて」




あたしの手からハンカチを取って岩本くんは座ったままあたしの髪をガシガシと拭いてくれた。





「すごいね。岩本くんがここに座ったらあたしが岩本くんのこと見下ろしてる。岩本くんはいつもこんな感じなんだね」




「ほんとだ。宮野さんはいつもこんな感じなんだね。・・・なんだか今、すごく宮野さんを抱きしめたい気分なんだけど・・・抱きしめてもいい?」




「えっ?でもあたし雨で・・・」
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