君ともう一度。


「あ、これは昨日今日の授業のノートね」

「ありがと〜」

「夏耶、来週のテストまでにはなおしてよね!?
じゃないと、夏休み補講で潰れちゃうよ?」


「うん。だいぶ楽になってきたからたぶん平気だよ
わざわざ、ありがとうね」


芹の綺麗な字で書かれたノートを受け取り、苦笑いを浮かべた。


別に、勉強が嫌いとか中間で散々な点数をとったわけではない。

ただ、こないだの一件で少し頭に余裕がない。


このまんま来週のテストに私は身が入るのか怖いなて思うだけ。


まあ、頑張らなきゃいけないんだけど。


「じゃあ、私はそろそろ帰るね?」

「え、あ〜うん」


ずいぶん早い帰りだな、と思ったけど、私が熱あるんだから仕方ないか。

なんて思いながら食べかけのプリンをテーブルにおいた。


「あ、見送らなくていいよ、病人さん」


立とうとした私を座らせて、芹は鞄を肩にかけた。


そのまま、じゃあね、と、私を見ずにドアの部に手をかけた。

が、ドアが開いたのにも関わらず、芹はでて行こうとせずにその場に立ち尽くしている。


「……芹?」

「………」


なんかあったのかなと、私は首をかしげてみたものの、芹は微動だにしない。

私に背を向けているから表情は読み取れないけど、何か迷ってるみたいな少し重たい空気。


「どうかしたの?」

「…あのさ、夏耶はさ…まだ、葉山くんのこと好きなんだよね?」


「え……」


スキ。

まだ、そう思っていいのかすらわからない感情。


あんなことがあったのに、私はまだ祐介のことを心に思っている。


好き。

好きなんだよね、まだ。

私はきっと嫌われているというのにも関わらずに、好きなんだ。




「でも、それがどうしたの?」


芹の意図が読めない。


決して応援はしていないけど、反対をしてるわけじゃない。

私のためを思ってか、なるべくそうゆう話題にはしないし。



いまさら、どうしたんだろう。






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