君ともう一度。
キュッと硬く握られた掌。
グルン、と勢いよく私の方を振り返る。
そんな芹の行動にビックリして目を丸くさせた。
「せり」
「会ったの、葉山くんに…」
え……!?
祐介に??
俯きがちに、少し震えた声で、だけど確かにそう言った。
「私…ごめん…ごめ、夏耶の気持ち…むしして」
「ちょ、芹!?
なになに??どうしたの、いきなり」
気づいたら大粒の涙を流す芹。
祐介に何か言われたの?
でも、二人は接点なんてないわけだし。
「夏耶を傷つけないでって。
葉山くんも辛いけど、夏耶もすごく傷ついてるんだよって
わたし、勝手なこと…言ったの」
芹……。
「祐介はなんか言ってた?」
私の問いにただ首を振った。
祐介は何も言わなかったんだ。
だよね。
私が勝手に傷ついてるだけだし。
「でもね、私が思ってたような人ではなかった…」
「え…?」
どうゆう、意味?
「だって、葉山くんとあったの、夏耶の部屋の前でだから…」
えーーーー。
部屋の前で、て、私の部屋の前?
なんで…。
だって、そんなのありえないじゃない。
こないだ、あんなこと言われたのに。
どうして?
頭がグルグルとうまく回らない。
熱のせいかな。
よけいに、思考が働かない。
「本当は、言わないつもりだった。
夏耶のこと傷つけたくなかったし、話を聞いてたから余計に期待を持たせたくなかった」
ごめん。
と、何度も謝る芹。
私のことを考えて、やってくれた行動。
それが、なによりも嬉しくて、私まで泣けてくる。
「ありがとう、芹
私、芹が友達でよかった」
ハンカチで涙を拭う芹は少し恥ずかしそうに笑った。