君ともう一度。




キュッと硬く握られた掌。


グルン、と勢いよく私の方を振り返る。


そんな芹の行動にビックリして目を丸くさせた。



「せり」

「会ったの、葉山くんに…」


え……!?

祐介に??


俯きがちに、少し震えた声で、だけど確かにそう言った。


「私…ごめん…ごめ、夏耶の気持ち…むしして」

「ちょ、芹!?
なになに??どうしたの、いきなり」


気づいたら大粒の涙を流す芹。

祐介に何か言われたの?

でも、二人は接点なんてないわけだし。


「夏耶を傷つけないでって。
葉山くんも辛いけど、夏耶もすごく傷ついてるんだよって

わたし、勝手なこと…言ったの」


芹……。


「祐介はなんか言ってた?」


私の問いにただ首を振った。


祐介は何も言わなかったんだ。


だよね。

私が勝手に傷ついてるだけだし。


「でもね、私が思ってたような人ではなかった…」


「え…?」


どうゆう、意味?


「だって、葉山くんとあったの、夏耶の部屋の前でだから…」




えーーーー。



部屋の前で、て、私の部屋の前?

なんで…。


だって、そんなのありえないじゃない。


こないだ、あんなこと言われたのに。


どうして?


頭がグルグルとうまく回らない。


熱のせいかな。

よけいに、思考が働かない。


「本当は、言わないつもりだった。
夏耶のこと傷つけたくなかったし、話を聞いてたから余計に期待を持たせたくなかった」


ごめん。

と、何度も謝る芹。


私のことを考えて、やってくれた行動。


それが、なによりも嬉しくて、私まで泣けてくる。


「ありがとう、芹
私、芹が友達でよかった」


ハンカチで涙を拭う芹は少し恥ずかしそうに笑った。








< 14 / 15 >

この作品をシェア

pagetop