君ともう一度。
声をかけようと何度か試みたけど、そんな勇気はいつも打ち砕かれる。
私と違って派手めな子達がいつも周りにいる。
私はどう頑張っても少し地味で、それがさらに声をかけずらくさせている。
一歩前へ出れば近づける距離にいるのに。
その一歩はあまりにもデカすぎる。
「夏耶、へいき?」
「あ、ごめんごめん。
図書室行って早く帰ろう」
事情を知っている芹が心配そうに見てくる。
私は無理矢理笑顔を見せると芹は困ったように笑いながら、一緒に図書室に向かった。
ーーガラッ
図書室にはテスト前だからか勉強をしている人や本を読みにきてる人が数人いた。
私は入ってすぐ横にあるカウンターに本を持っていく。
「永田くん、お願いします」
カウンターには同じクラスの永田 知宏くんがいた。
彼は図書委員で図書室に通ううちに話すようになった。
「もう、その本読んだの?」
「うん!すっごく、面白かったよ
また、なにかいいのあったらオススメしてね」
「りょーかい」
永田くんは成績も学年で10位以内には必ずいるような人で、本の知識もたくさんある。
だから、いろんな本をオススメしてくれる。
「来週のテストが終わったら、またなんか探しとくよ」
「わーい、楽しみにしてるね」
少し他愛もない話をして図書室を出る。
すると、さっきまで一言も話さなかった芹が口を開いた。
「よーく、永田となんか話せるよね〜」
口を尖らせながら不思議そうな顔をしている芹。
「へ、永田くん?いい人じゃん」
「私はちょっと苦手だな。頭いいのを鼻にかけてる感じ」
「う〜ん、そかな?」
「夏耶は永田のお気に入りだからね
そんな風には扱われてないけど」
お気に入り?
確かに仲はいいほうだけど、そんな風には思われてないでしょ。
永田くんてクラスでは浮いてる方だけど、話してみると意外と人懐っこい人なんだよね。
みんなにもそうやって接すればいいのに。