君ともう一度。
いくらお喋りな芹にでも、苦手なタイプがあるらしい。
たしかに言われてみると、最初の頃はとっつきにくくて苦手意識もあったけど。
いつ頃だろうか。
そんな風に考えなくて、普通に話すようになったのは。
「ねぇ、帰り駅前のフードコート行こうよ!」
「久々にいいね〜」
芹は高校からの仲なのにまるでずっと前からの知り合いみたいにいろんな話ができる。
いつも明るくて笑顔で、わたしの気持ちをいつも察してくれるから、すごく自慢の友達だ。
「で、葉山くんどうするのよ?」
フードコートに着くなり、いきなり本題を持ちかけてきた。
「え、どうするって…ねぇ?」
どうするもこうするも、なにもない。
芹には全てを話している。
だから、心配してくれてるし、アドバイスもくれる。
「祐介はさ、私となんて話したくないんだよ…
私は知らない間に祐介のことを傷つけたんだから。」
理由も事情もわからない。
なんで話をしてくれないのか。
目も合わせてくれないのかも。
祐介はなにも言わずに、私の前から消えた。
今までどんなことがあっても、祐介の隣にいたのは私で、これからもずっと関係は変わらないって思ってたのに。
祐介は違ったのかな?
それとも私のせい?
「噂をすれば」
「え、」
「ちょっと〜、祐介、待ってよ〜」
芹の視線の先からは甘ったるい語尾を伸ばした女の声。
その女の前には、祐介の姿。
学校帰りの生徒の溜まり場と言えば、このフードコートくらい。
時々見かける。
いつも違う女の人といる。
前は頻繁に女の人と話すような性格じゃなかったのに。
「…夏耶さ、辛いならやめちゃえば?」
芹…?
「私はさ、高校からの葉山くんしか見てないからわからないけど
あぁやって夏耶のこと避けて他の女ばっかといるような人じゃなくて、夏耶にはもっといい相手がいるよ…」