君ともう一度。


芹がそんな風に言うなんて思いもしなかった。


「男は、葉山くんだけじゃないよ?」


「うん…そうなんだけどね」


これが恋なんだと自覚した時、すでに私達は今みたいな関係になっていた。


離れてはじめて気づいた気持ち。

まだ、そこまで大きくない気持ち。


今ならまだ戻れるかもしれない。

そう思ったこともあったけど。


好きと言いたいわけでも、付き合いたいわけでもない。

ただ、前みたいに戻れたらと思うだけ。



「恋とか、私には似合わないんだよ…」


「ごめん、でしゃばりすぎた」


「ううん。そんなことない
芹の存在は私にとってすごく大きいんだよ」


キュッとジュースの入ったカップを握りしめて笑った。


それを見て芹は安堵の表情を浮かべた。


「私の話なんかいいからさ、芹は?
最近、彼氏とどうなの??」

「いやいや、まだ付き合って日が浅いから
それに、直人、部活で忙しいからさ」


少し照れたような、でも幸せそうな顔。


芹は他校に最近できた彼氏がいる。

あんまり会えないしでなかなか片想いが実らなかったみたいだけど、勇気を出して告白したところOKがでたみたい。


私も、芹みたいな勇気があれば。


「あ、そうだ!
今度直人の友達紹介するよ」

「いやいや、私そゆの苦手だから」

「大丈夫!その人、すっごく人懐っこい人だから」


なにが大丈夫なのか分からないけど、芹の勢いはすごい。

この勢いなら彼氏が落とせても不思議ではないな。






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