君ともう一度。
聞きたいけど聞けない。
いつも立ちどまってしまう。
「△△駅〜△△駅〜」
やっと最寄りの駅についた。
人ごみに紛れながらおりていく。
祐介はさっきまでと変わって知らない顔でスタスタ歩いて行く。
その後ろ姿をみるのは何度目だろうか。
少し前までは祐介の横を歩いていたのに、夢でも見てるみたい。
私は祐介と少し距離を取りながら後ろをついていく。
「あ」
「え、」
前を歩いている祐介が急に止まった。
つられて私も止まる。
駅の外をみてみると、大粒の雨が降っていた。
最近、雨が降らないから油断していた。
梅雨の季節だというのに、傘を忘れた。
バサッ…
「お前、傘は?」
「忘れたみたい」
「今日の予報みてなかったのかの」
「朝急いでたから。
祐介は持ってきたんだね…」
中学の時から使ってる青い折りたたみ傘。
呆れた顔でそれを持ちながら、私をみている。
しばらくはやまなさそうだから、どっかで雨宿りかお母さんに来てもらおうかな。
「……入る?」
携帯を取り出し、お母さんに電話をかけようとした私の横から思いもよらない言葉が投げかけられた。
驚きすぎて声も出ない。
「おばさん、ここまでくるの大変だろん
それに、この分だとしばらく雨やまないから」
私の考えてることなんて祐介にはお見通しらしい。
入ってもいいのかな?
いいんだよね。
「じゃあ、お願いします。」
言いながら、私はスクバを肩から手に持ち替えて祐介の隣に並んだ。