君ともう一度。


これだけ長い期間一緒にいたのに、なんで分からないんだろう。


辛そうに眉をひそめ、真っ直ぐと前だけ見つめる祐介。

やっぱり、その顔は私がさせてしまう。


考えなければ、と思えば思うほどに私の気持ちは混乱する。


「ごめん、俺、先に帰るわ…
この傘お前にやるよ」


ほら。と無理矢理手渡された傘。

そのまま祐介は雨の中走って行った。


私は祐介に傘を持たされたにも関わらず、ささずにトボトボ歩き始めた。


雨に打たれてビチョビチョだ。

ほおを伝う雫は雨なのか涙なのかも分からない。


雨が降っていてよかった。

でも雨が降っていなかったら祐介と二人で帰ることも、こんな話をされることもなかったかもしれない。




「あら、おかえり〜って、びしょ濡れじゃないの!?
今日、雨の予報でしょうが」


家に入るなりお母さんと鉢合わせた。

すぐにタオルを持って来てくれて、拭いてくれる。


「あれ。あんた傘持ってるじゃないの…どうしたの、夏耶?」


心配するお母さんの言葉に堪えきれずに涙が溢れ出して来た。


お母さんはなにも聞かずにただ黙って頭を撫でてくれた。




祐介に嫌われた。


別に、思いが報われて欲しいなんて思ってなかっの。


ただ、前みたいに仲良くしたかっただけなの。


きっと、それが私の甘えだ。



境界線を引かれた。



祐介、ごめんね


何度も心の中で謝った。









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