炭酸アンチヒーロー番外編
「俺かよ」



思わず呟きながらガタンと椅子から立ち上がり、再び廊下に出る。

そしてうしろから見てもふらついている、小さな背中に近づいた。



「蓮見!」

「え? わっ、」



俺の声に反応して蓮見が振り向き、そしてそのおかげで崩れかけたノートの山を、あわてて押さえて防ぐ。



「ご、ごめんね辻くん」

「いや、……つーか、今日の日直俺だろ。それ運ぶの代わるから」

「え? ……や、いいよー、頼まれたのは私だし」

「いーから、寄越せって」



びく、と肩を震わせた蓮見を見て、内心しまったと思う。

俺はもともと目つきが鋭くて、おまけに言葉も雑だから、人に怖がられやすいことは自覚していた。



「……わり、じゃあ、半分運んで」



言いながら、蓮見の持つ山から4分の3くらいを持ち上げ、小柄な彼女が追いつける速さで歩き出す。

俺のその行動に一瞬呆けてた蓮見も、数秒後ハッとしたようにぱたぱたと駆け寄ってきた。
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