炭酸アンチヒーロー番外編
レイニーデイの恋人
あいにくの雨で、野球部の活動が中練だったその日。
いつもより短い練習を終え、少なからず逸る気持ちで最近付き合い始めたばかりの彼女が待つ教室のドアを開けた俺は、思わずムッと眉を寄せた。
「ぅあ……ッつ、辻くん、もう練習終わったの?」
なぜなら、俺の姿を見た瞬間あせったようにそう言った彼女が──後ろ手に、急いで何かを隠したことに気がついたからだ。
不審に思ったことを隠そうともせず、訝しげな表情のまま俺は蓮見へと近づく。
「め、めずらしいね教室まで来るなんて……いつもみたいに、メールくれれば玄関まで行ったのに」
「いや、今日は俺教室に取りに来る物あったから……──蓮見、今なに隠した?」
「へっ!?」
まさかつっこまれると思っていなかったのか、俺の問いに明らかな動揺を見せる彼女。
そんな蓮見の様子にますます表情を険しくする俺を見て、一緒にいた彼女の友人である坂下と新井田も「そうそう、どうして隠しちゃうのー?」なんて笑っている。
「蓮見?」
「……ううー……」
友人ふたりと、目の前の俺。
双方のプレッシャーを受け、蓮見は渋々といった様子で自分の後ろにまわしていた手を前に出した。
そんな、彼女が手にしていたものとは──。
いつもより短い練習を終え、少なからず逸る気持ちで最近付き合い始めたばかりの彼女が待つ教室のドアを開けた俺は、思わずムッと眉を寄せた。
「ぅあ……ッつ、辻くん、もう練習終わったの?」
なぜなら、俺の姿を見た瞬間あせったようにそう言った彼女が──後ろ手に、急いで何かを隠したことに気がついたからだ。
不審に思ったことを隠そうともせず、訝しげな表情のまま俺は蓮見へと近づく。
「め、めずらしいね教室まで来るなんて……いつもみたいに、メールくれれば玄関まで行ったのに」
「いや、今日は俺教室に取りに来る物あったから……──蓮見、今なに隠した?」
「へっ!?」
まさかつっこまれると思っていなかったのか、俺の問いに明らかな動揺を見せる彼女。
そんな蓮見の様子にますます表情を険しくする俺を見て、一緒にいた彼女の友人である坂下と新井田も「そうそう、どうして隠しちゃうのー?」なんて笑っている。
「蓮見?」
「……ううー……」
友人ふたりと、目の前の俺。
双方のプレッシャーを受け、蓮見は渋々といった様子で自分の後ろにまわしていた手を前に出した。
そんな、彼女が手にしていたものとは──。