炭酸アンチヒーロー番外編
「ヒロくん?」



ドギマギしつつも、私がそう口にすると。

あまり表立って感情をあらわにしない彼が、目に見えてうれしそうに笑って。



「……!」



そしてその笑顔に、また胸を高鳴らせている私に構わず──ヒロくんは今度はそのまま、私の首筋に顔を埋めてきた。

ちゅ、ぺろ、と、彼のくちびるや舌が肌をいたずらする。



「ひゃ、わ、ヒロく、……ッ、」

「……まお、」



ようやく顔を上げたと思ったら、ためらいもなく深く塞がれる唇。

それから服のすそから彼の大きな手が侵入してきて、私の下着をやわく撫でた。



「ん、んゃ、あ、ヒロく……」

「………」



彼の熱い口内から、ほのかなアルコールの味が移って。

もうどうにでもなれと、私は彼の首に腕をまわした。




* * *



「………」



散々好き勝手に私の身体を弄り倒した彼は、コトが終わった後くたりと眠りについてしまった。

つい先ほどまでの容赦ない行為のせいで、喉がカラカラだ。



「(お水……飲みたい、けど、動けない……)」



となりで眠るヒロくんの逞しい腕にがっちりホールドされているおかげであまり身動きがとれない私は、すぐ目の前にある彼の寝顔を観察する。

そして不意に思い出すのは、始まる直前、彼が見せた無邪気な笑顔。



「ヒロくん、」



名前を呼んでも、当然ながら彼からの返事はなくて。



「……だいすき」



人知れず小さく呟いて、私は勝手に、顔を赤くするのだった。







彼女的幸福論
(次の日本気で落ち込んで平謝りする彼に、私はまた笑うのだ)




2013/08/31
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