炭酸アンチヒーロー番外編
「え、えと……」
「俺は、名前で呼んでほしいと思ってるんだけど」
ダメ? なんて、小首をかしげながら顔を覗き込まれて。
普段の彼のイメージとは裏腹なその言動に、また体温が上昇したように感じながら、私は思いきって辻くんを見上げ、震える口を開いた。
「……ひ、ヒロくん」
「………」
私が勇気を振り絞って名前を呼んだ瞬間、彼は一瞬だけ目をまるくする。
だけどそれからすぐ、両思いになったあのときみたいに、片手で顔を覆ってしまった。
「ど、どうしたの? ヒロくん」
「……もうだめだ、俺」
私が慌てながら訊ねると、辻くんははーっと深く息を吐いて。
そして口元を隠す手はそのままに、横目で私に視線を向ける。
「俺、おまえのことがすきすぎて、どうにかなりそう」
「……!」
君の声、君の名前
(私も同じだよって、照れずに言えればいいのになあ)
2013/05/06
「俺は、名前で呼んでほしいと思ってるんだけど」
ダメ? なんて、小首をかしげながら顔を覗き込まれて。
普段の彼のイメージとは裏腹なその言動に、また体温が上昇したように感じながら、私は思いきって辻くんを見上げ、震える口を開いた。
「……ひ、ヒロくん」
「………」
私が勇気を振り絞って名前を呼んだ瞬間、彼は一瞬だけ目をまるくする。
だけどそれからすぐ、両思いになったあのときみたいに、片手で顔を覆ってしまった。
「ど、どうしたの? ヒロくん」
「……もうだめだ、俺」
私が慌てながら訊ねると、辻くんははーっと深く息を吐いて。
そして口元を隠す手はそのままに、横目で私に視線を向ける。
「俺、おまえのことがすきすぎて、どうにかなりそう」
「……!」
君の声、君の名前
(私も同じだよって、照れずに言えればいいのになあ)
2013/05/06