大型犬を拾いました。
step0.「大型犬を拾いました。」
プロローグ
―――驚いた。
いつも通りの帰り道。いつも通り帰宅部の私は、下校をしていた。しかし、坂を上ったところでありえないものに遭遇した。人が、倒れていたのだ。
「あの、大丈夫ですか?」
救急車をよんだ方がいいのか迷っていると、突然その人は、しゃがむ私の手首を掴んだ。
「っ?!」
驚いて転びそうになる私をよそに、彼は小さな声で呟いた。
「……お腹……すいた……」
固まる私を、彼は「食べ物持ってない?」と悲しそうな顔で見上げてくる。そんな子犬みたいな顔されたら無視するなんて出来るわけがない。だって、彼、犬に似てるんだもの。
私は持っている袋から、さっき買ったばかりのシュークリームを取り出した。結構美味しそうだったから少し惜しいけど、まあ、いっか。
「シュークリーム食べれる?今これしか持ってなくて…」
シュークリーム、という単語に素早く反応した彼は、すぐさま私からシュークリームを奪い、必死に食べ始める。…美味しそうに食べるなあ。
「うまい!めっちゃうまかった!ホントにありがと!」
シュークリームを食べ終えた彼は、ニコニコと笑いながら嬉しそうに私に何度もお礼を言った。こんなに喜んでもらえるなら、シュークリーム作ったひとも嬉しいことだろう。あげてよかったな。
「ううん。困ったときはお互い様でしょ。今度はもう、空腹で倒れたりしないようにね」
コロコロと表情の変わる彼は、本当に可愛くて。私の大好きな、犬みたいだった。だから、思わず。
「っ!」
ぽんぽんと、彼の頭を撫でてしまった。
「またね」
「……!」
それが後に、あんなことになるとは知らずに。
―――驚いた。
いつも通りの帰り道。いつも通り帰宅部の私は、下校をしていた。しかし、坂を上ったところでありえないものに遭遇した。人が、倒れていたのだ。
「あの、大丈夫ですか?」
救急車をよんだ方がいいのか迷っていると、突然その人は、しゃがむ私の手首を掴んだ。
「っ?!」
驚いて転びそうになる私をよそに、彼は小さな声で呟いた。
「……お腹……すいた……」
固まる私を、彼は「食べ物持ってない?」と悲しそうな顔で見上げてくる。そんな子犬みたいな顔されたら無視するなんて出来るわけがない。だって、彼、犬に似てるんだもの。
私は持っている袋から、さっき買ったばかりのシュークリームを取り出した。結構美味しそうだったから少し惜しいけど、まあ、いっか。
「シュークリーム食べれる?今これしか持ってなくて…」
シュークリーム、という単語に素早く反応した彼は、すぐさま私からシュークリームを奪い、必死に食べ始める。…美味しそうに食べるなあ。
「うまい!めっちゃうまかった!ホントにありがと!」
シュークリームを食べ終えた彼は、ニコニコと笑いながら嬉しそうに私に何度もお礼を言った。こんなに喜んでもらえるなら、シュークリーム作ったひとも嬉しいことだろう。あげてよかったな。
「ううん。困ったときはお互い様でしょ。今度はもう、空腹で倒れたりしないようにね」
コロコロと表情の変わる彼は、本当に可愛くて。私の大好きな、犬みたいだった。だから、思わず。
「っ!」
ぽんぽんと、彼の頭を撫でてしまった。
「またね」
「……!」
それが後に、あんなことになるとは知らずに。