偽善愛で夢を見て。
連れてこられたのは、蛍光灯がヤケに眩しい
洒落たバーだった。
睨みを効かせていた金髪のバーテンダーが後ろの不良を見て鋭い眼光を和らげた。
裏の住人だと、一瞬で理解できる程のオーラを纏っていた。
押し入れられたのは店の奥。
V.I.P専用だと一目で判る黒い扉。
開けたら生かされる気がした。
生きる事が怖い私。
逃げ出したい。
今すぐ走りだした所で、恐らく捕まって逆戻りだ。
トイレに行きたい、と安直な考えしか浮かばない。
無視をされて、イラついた。
足の甲を踏んでしまおうか。
否、素足と靴では勝敗は丸見えだ。
弁慶の泣き所にしようか、と迷っていると扉が勝手に開いた。
中から開けたのだと気付くのにやや、時間がかかる。
バーテンダーの彼より眩しい金髪。
紅に恐怖を感じたのは久しぶりだ。
いつもはこんなに怖がる事もなかった。