偽善愛で夢を見て。
「嫌い。」
「あ?」
凄んだって、諦めた私は怖くないよ。
「みんな、嫌い。
大嫌い。
あんな体験、したことないでしょ。
林間から帰ってきたら、家中血まみれで。
どれだけ苦しいか、判らないでしょ。
頼れと言われたって、赤の他人にドップリ填まることなんて出来ない。
高2だったし、一人で生きられる所を見せなきゃいけなかった。
知らないでしょ?
施設の人や警察の人が、私を預かろうとしていたこと。
彼らに見せ付けなきゃいけなかった。
じゃなきゃ、私は自由を奪われるから。
一人で生きなきゃ、迷惑かけないようにしなきゃ、
そう意気込む度に怖くなる。
辛くなった。
気持ちばかり焦って、心も体も着いていかなくなった。
そんな時、私、学校帰りに襲われたの。
昔いつも遊んでたあの公園で。
口に何か詰められて…そのまま。
気が付けば全裸で傷だらけ。
残ってた僅かな気力で家に帰ったけど、苦しかった。
泣き付きたかった。
オバサンにこれ以上の迷惑はかけられない。
だから、他の人を探したの。
誰でもよかった。
心を癒してくれるなら。
偽りの愛でよかった。
家族を失い、人を遠ざけ、体を貪られた私でも、まだ愛されることができると、判ったから。
沢山の人に、愛されたかったから。」
涙は、どうして流れるのだろう。
温もりをもって、こんなに溢れるものだろうか。
偽りを求めた私は間違っていないよ。
だって、偽りすら無かったら
私は私でいられなかったハズだから。