偽善愛で夢を見て。
だから、こういう冷たい関係。
丁度いい距離を築いてきた。
彼―悠史―は突然の訪問にも動じなかった。
口にくわえていたタバコを灰皿に落とし、
またか、と呆れたように私を見てきた。
そんな視線には慣れっこだから、軽く無視。
勝手に冷蔵庫を開けて、チューハイを取り出す。
私の好きな銘柄が置いてある所を見ると、買い込んでくれているらしい。
悠史はチューハイなんて、呑まないから。
それに私の前では絶対タバコを吸わない。
すぐに消してしまう。
別にいいのに、と呟いた事があった。
理不尽にも、脳天を雑誌で叩かれたのでそれ以来口を出していない。
ただの紙束があれほど痛いと思わなかった。
あれは、ある意味いい思い出だ。
ベッドに腰掛けて、お酒を喉に押し流す。
受験のストレスは酒とセックスで解消するのが、私流。
甘ったるい桃の香りが部屋と鼻に充満する。
その途端、彼の眉間の皺がより一層深く刻まれるのを見た。